榊原郁恵「ROBOT」はすべて手弾きの「人力テクノ」で制作
1980年に制作した榊原郁恵さんの「ROBOT」は作詞・松本隆、作曲・筒美京平、編曲・船山基紀のメンバーで手がけた作品の中でも、とても印象に残っています。
京平先生からは「とにかくテクノでやってほしい」というリクエストがありましてね。当時はYMOによるテクノブームが起きていて、歌謡曲との融合が試されていた時代です。京平先生の念頭には、そのことがあったのかもしれません。
しかし、あの頃はまだコンピューターの性能があまり良くなかったんですよ。打ち込みというと、「ローランドMC-4」というデジタルシーケンサー(コントローラー)を使っていましたが、MC-4は単音で打ち込んでいくしかなかったので、とても時間がかかるんです。
■コンピューターで打ち込むのに時間がかかった時代
スタジオで、すべて最初から単音で打ち込んでいかなければいけないので、1曲制作するのに1週間近くかかってしまうような状況でした。郁恵さんは人気アイドルでしたから、忙しいスケジュールの合間を縫ってレコーディングをしなければならないわけです。