「ミナリ」ユン・ヨジョンが韓国人初アカデミー助演女優賞
「パラサイト」は韓国の貧富の格差をテーマに、実に韓国らしいテンポと表現でエンターテインメント化させた映画だが、「ミナリ」は移民家族の姿を米国郊外の自然の風景と共に、静かに淡々と描いている。
■CM出演依頼も殺到
タイトルの「ミナリ=芹」は韓国人が好んで食する食材の一つ。映画ではユン・ヨジョン演じる子どもたちの祖母が河原に種を植え育てるシーンが出てくる。芹は環境が整えば育ちやすく、毎春に繰り返し生えてくる。それは異国に根を下ろしてたくましく生きて行く、移民の姿と重なる。
同作で典型的な韓国の年配女性の姿を演じたユン・ヨジョンは、アカデミー賞ノミネート後、米国で「韓国のメリル・ストリープ」とも称されている。韓国では誰もが知る国民的女優だが、映画の世界的ヒットを機にCM出演などの依頼が殺到しているという。
昨年に行われた米サンダンス映画祭の舞台でユン・ヨジョンは、
「(オファーがあった際)正直、この映画には出たくないと思いました。新人の監督が撮る独立映画だったからです。たいへんな作業になることが予想されましたから。私は年をとっているので、あまり苦労をしたくなかったのです。しかし、本当にいい映画が完成しました。監督が良い機会を与えてくれて感謝しています」