映画「ミナリ」アカデミー受賞にハリウッドの壁とNetflix
映画「ミナリ」の評判がうなぎのぼりだ。サンダンス映画祭で火が付き、米アカデミー賞の前哨戦といわれる各国の批評家賞を次々と獲得。15日の夜には、いよいよアカデミー作品賞ほか6部門でノミネートされ、大本命に躍り出た。
こうした中、最重要な賞のひとつゴールデン・グローブ賞では、作中の英語比率が少ないのを理由に、作品賞でなく外国語映画賞にカテゴライズされたことで物議をかもした。ハリウッドの映画業界人からは「本作は最もアメリカらしいアメリカ映画だ」と、旧来の規定を批判する声が相次いだ。その熱狂ぶりについて、映画批評家の前田有一氏が解説する。
「たしかに本作は監督こそ韓国系のリー・アイザック・チョンですが、れっきとしたアメリカ映画です。しかしこうした作品擁護の声が上がるのは、ハリウッドが移民のトップチームだからでもあります。世界各地から夢を追い求めやってきた彼ら映画人にとって、移民1世の父親が、身を粉にして家族のため、成功のため努力する本作のストーリーはまさにドンピシャ。強固な共感を集めているというわけです。とくに作品賞は全会員の投票で決まるので、本命視されるのも当然です」