著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

「本当はお嫁さんのプロになりたかった」銀座のマダムが店を閉めて“花嫁修業”

公開日: 更新日:

 本連載において「山口洋子は強い男に引かれる気質だった」と書いた。野口修もそれに該当する論拠としてである。

 4年前に他界した作曲家の平尾昌晃は、洋子を公私ともによく知る盟友とも言うべき存在である。筆者の問いに対し生前、彼は次のような話を聞かせてくれた。

「洋子ちゃんの好みって、お子さまランチみたいな甘いマスクじゃないの。“ジャニーズ系”みたいなのに、彼女はまったく関心を持たない。洋子ちゃんって苦み走った渋い男前がタイプなんだよね。よくよく思うと、安藤さんも権藤さんも野口さんもそういう感じでしょう」

 2年間、店を閉めている間、洋子はまるで妻のような献身ぶりだった。権藤の食事を作ることもあれば、慣れないミシンを踏んで木綿のパジャマの右肩に分厚いタオルを縫うこともあった。「投手は肩が命。肩を冷やすのは大敵」と周りから繰り返し注意されたからで、頑迷な言いつけをけなげに守る姿に、不良少女だった過去も、年齢をごまかしてキャバレーで働いた過去も、端役とはいえ東映女優として脚光を浴びた過去も、やくざの愛人として逃走を手伝った過去も、すべてが嘘のようだった。それほどまでに“嫁の務め”をはたそうと考え、そこまでして、権藤の妻になりたかったのだ。自身の半生を顧みて「ちょっと走りすぎた」と思ったのもあったかもしれない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 3

    立花孝志氏の行為「調査要求」オンライン署名3万6000件に…同氏の次なるターゲットは立憲民主党に

  4. 4

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  2. 7

    オリ1位・麦谷祐介 暴力被害で高校転校も家族が支えた艱難辛苦 《もう無理》とSOSが来て…

  3. 8

    斎藤元彦知事に公選法違反「買収」疑惑急浮上しSNS大炎上!選挙広報のコンサル会社に「報酬」か

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議