五輪開催で“バッサリ中断”の夏クールドラマ「明と暗」テレ朝のキントリは余裕綽々?
オリンピック放送のため夏クールの連続ドラマは次々と休止になって、人気や視聴率にも大きな影響がありそうだ。直撃を受けているのは、フジテレビ系の「ナイト・ドクター」(月曜午後9時)である。夜間救急チームの中で浮いていたリーダーの成瀬暁人(田中圭)が、ようやくスタッフに受け入れられ、「さあ、みんなで頑張ろう」となった矢先に、朝倉美月(波瑠)が救助現場で倒れてしまう。原因不明。さて、どうなるか……というところで、ドラマはストップしてしまった。次回放送は8月9日。
「半月も空くと、『え~と、どんなお話だっけ』となってしまいます。とくに、ナイト・ドクターは登場人物が多いし、ストーリーも半ばまできているので、毎週見ていた人が、それぞれの役やキャラを思い出しながら、あらためて入り込み直してくれるかどうか。難しいところです」(テレビ誌編集デスク)
ドラマの全体像が見えてきた途端の休止で視聴者が離れそうなのが、「#家族募集します」(TBS系金曜午後10時)と「彼女はキレイだった」(カンテレ・フジテレビ系火曜午後9時)だ。主だった登場人物が出そろい、「これより始まり始まりい~」というタイミングだっただけに、肩透かしを食らった格好で、印象は悪い。
踏んだり蹴ったりなのは、大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合日曜午後8時)だろう。徳川慶喜(草彅剛)が大政を奉還したところで3週休みとなり、8月15日に再開しても、渋沢栄一(吉沢亮)らはまだパリで金策に奔走していて、翌週にやっと帰国するが、今度はパラリンピックで2回休み。今年の大河ドラマは全41話と短いから、9月半ばに再々開すると、間もなく終盤である。
「これから明治維新、産業近代化、数々の事業創設と、“日本資本主義の父”といわれた渋沢栄一の本番なのに、休止続きで話が運ばないまま残り十数話となってしまうんです。もったいないですよねえ」(番組制作会社プロデューサー)
余裕の「緊急取調室」
逆に、テレビ朝日系「緊急取調室」(木曜午後9時)は、このインターバルを上手に利用した。7月29日はバドミントンの中継のため休止だったが、8月5日も、裏でNHK、日本テレビ系、テレビ東京系の決勝種目が目白押しになるため、2時間スペシャルドラマに差し替えてしまった。
「いずれも日本のメダルがらみなので、食われるのは必至。夏ドラマの世帯視聴率トップを狙っている“キントリ”としては、無理をせず、9月最終週くらいまで引っ張って、好調なまま秋ドラマ最強の『ドクターX~外科医・大門未知子~シリーズ7』につなげる作戦なんです。この合わせ技で、年間視聴率のプライム帯(午後7~11時)連続1位というのが、テレ朝のもくろみでしょう。だから、キントリの2回休みは、むしろ好都合なんです」(前出のテレビ誌編集デスク)
オリンピック中継を向こうに回して休止なしで続くTBS系「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(日曜午後9時)だが、世帯視聴率が急落している。やはり厳しいのか。
(コラムニスト・海原かみな)