寄稿:藤島メリー泰子さん追悼秘話 おっかない中年夫人の無理難題に良くも悪くも翻弄された

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吉川圭三氏(元日本テレビ、現ドワンゴエグゼクティブプロデューサー)

 ジャニーズ事務所のメリー藤島さんが93歳で逝去された。

 ロサンゼルス生まれで、戦後の荒廃した日本に来て弟のジャニー喜多川氏と一大芸能帝国を築き上げた女帝、優しい一面も厳しい一面もある強烈にタフなビジネスウーマンだった。

 1998年に少々マンネリ化した「24時間テレビ」の総合演出の命が私に下った。当時レギュラー番組を週4本ほど抱える私は結局承諾することになった。パーソナリティーは当時伸び盛りのTOKIOに依頼した。メイン企画は障害を持つ50人の青少年たちとTOKIOで久石譲氏が作曲した「旅立ちの時」を生放送で演奏するというもの。だが、音楽素人で障害のあるメンバーを週2回、4カ月間にわたって日本中から集めるのも大変だし、超多忙なTOKIOも一緒に練習させると「これは音楽をやる現場ではない」と久石さんは何度も言い、現場からも悲鳴のような声も聞こえた。しかし本番の演奏が始まると途中から指揮者の久石さんも泣くほどの音色を醸し、お馴染みの24時間マラソンもかなわないほどの評価を得た。

 番組終了後、氏家(齊一郎)会長の秘書に呼ばれた。メリー藤島さんが氏家さんに私を連れて来いと言っているという。

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