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細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<5>ミス・ユニバース予選落ち「今後は銀座のクラブでホステスとして働きます」と

公開日: 更新日:

 結局、日本代表の飯野矢住代は出場者同士の投票により「ミス・アミティー(親善)」に選ばれるという無難な結果を残して帰国した。

 帰国直後、羽田空港には50人ほどの記者が集まっており、そのまま会見が行われた。「問題発言」を心待ちにする彼らの前で、飯野矢住代はこう宣言した。

「私の今後についてですが、銀座のクラブでホステスとして働きます」

 一部の記者から驚きの声が上がった。すかさず「お店は決まっているんですか?」とただされると、こう答えた。

「決まっています。山口洋子さんの『姫』にお世話になります」

 そう答えると、「おぉ……」と各所からどよめきが起きた。

「契約金はおいくらくらいだったんですか?」

「条件はどういったものでしょう?」

 矢継ぎ早に報酬に関する質問が飛んだが、「ご想像にお任せします」と、矢住代はひらりとかわしながら白い歯をのぞかせた。ミス・ユニバース日本代表が銀座のクラブホステスになるというのだから、話題を集めない方がおかしい。「洋子ママったら、一体いくら積んだんだ?」といぶかしげに言う記者もいれば、早速ゴシップ記事に取り掛かる記者もいた。山口洋子の狙いはそこにあった。話題になれば客の耳目を引くことができるのである。

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