コロナ禍でビールCM激増、出演するのは一流俳優の証し キリンが長谷川博己と染谷将太を起用し話題
「当時のサッポロは女性に好まれる傾向が強く、男にも飲んでもらいたいと三船に白羽の矢を立てた」(元広告代理店幹部)
「黙って」のコピーだけで三船がグラスに口を付けるシンプルさは新鮮だった。沈黙のCMと呼ばれ、「ビールは黙って飲む」と実践する者もいた。コロナ禍の今ならぴったりだが、今や都市伝説となった名CMのひとつだ。
三船の起用に他社も黙っていない。対抗すべくアサヒは高倉健を起用した。健さんの代表作「昭和残侠伝」の名ゼリフそのままに「飲んでもらいます」のコピーだった。普段の健さんは下戸だが、男らしい健さんがビールを飲む姿にファンならずともアサヒを飲んだそうだ。
2000年代にはキリンも健さんをCMに起用。ラフな格好で立つ健さんと「まっすぐで、いいんじゃないですか」のコピーは健さんの生き方ともマッチしていた。ポスターを盗む人も現れる騒動になった。今もポスターはプレミアが付き、高値となっている。
三船・健さんで火が付いたビール界のCM戦争は今も脈々と受け継がれている。俳優にとっても、それは大作映画やドラマ出演に匹敵するほどワンランク上のCMと認知されている。