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SALLiA歌手、音楽家、仏像オタク二スト、ライター

歌って作って踊るスタイルで話題を呼び、「イデア」でUSEN 1位を獲得。2018年より仏像オタクニストの活動を始め、初著「生きるのが苦しいなら」は紀伊國屋総合ランキング3位を獲得。近著に「アラサー女子、悟りのススメ。」(オークラ出版)がある。

「コクリコ坂から」原作者の息子が明かす二世の呪縛 いしだ壱成、東尾理子らが抱える生きづらさ

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 3度目の離婚が話題となったいしだ壱成(47)や、その父である石田純一の妻であり、元プロ野球選手を父に持つ東尾理子(46)、サッカー元日本代表FW三浦知良の次男であり、「RIZIN.33」で格闘技デビューした三浦孝太(19)など、二世タレントの話題が立て続いている。

 東尾は「東尾の娘としてずっと育ってきて、東尾じゃないところに行きたいなと思って大学時代にアメリカに行って、凄い解放されて自分を見つめ直せて、日本に帰ってきて親を尊敬し直すことができた」と述べている。三浦も「サッカーをやっていた時は、父と比べられ目立ってしまう環境だったが、それをプラスに捉えることで格闘家デビューを果たすことができた」とインタビューで答えていたのが印象的だった。

 そんな二世タレントたちに共感するのが、スタジオジブリによって映画化された「コクリコ坂から」の原作者である佐山哲郎氏を父に持ち、父と同じ僧侶として生きる佐山拓郎氏(46)だ。

■生まれた時から一挙手一投足を注目される

「お寺の住職は、地域に根差している仕事であるがゆえに、地域全体で誕生を祝われ、子供の頃から一挙手一投足を注目されています。そういう意味では2世タレントと似ていると思います。『〇〇寺の長男が、こないだタバコ吸ってたわよ』『酒飲んで騒いでたわよ』というのは当たり前で、彼女を連れて地元を歩いているだけで、親に『今後は安泰ですね』なんて報告が行くことも珍しくありません。本山に修行に行くときも、『佐山さんの長男が来るのか』と待ち構えられ、厳しく指導される気すらしました。2世タレントの方々も、生まれたときから全国に存在を知られ、親と同じ道を歩むことを国民から期待されてきたでしょうし、親の名前を出されるだけでもプレッシャーは積み重っていくと思います」(佐山氏)

 さらに佐山さんの父は僧侶であるだけでなく、有名な作家でもあり、それが佐山さんの人生にも大きく影響を与えた。

「作家でもあった父は、家で仕事することも多く、私服で机に向かい、原稿を書いている姿が印象に残っていました。同級生のお父さんは『毎朝スーツで出かけていく』と聞き、『うちはなぜそうじゃないんだろう』と不思議に思い、父は仕事してないんじゃないか?と思ったこともありました。私が僧侶のなる前は出版社でサラリーマンをしていたのも、父とは違う生き方をと意識していたのかもしれません。父は、博識だったので、割と子供に『そんなことも知らないのか』という感じで来ることも多く、『どこかの分野では、父の知識を上回らないと、一生父親のいう事を聞き続けなければならない』と思っていました。サラリーマンを辞めたいなあと思った時、父から『続けろ』とアドバイスを受け、言われた通りにしていたのも今思うと“縛られていた部分”が大きかったと思います」

偉大な親の呪縛から解放されるために

 偉大な親を持つというのは、まっさらな自分を自由に生きるということに対して大きな弊害となることも多い。「~の子供」という前提の上で生きることは、本来であれば感じなくていい「生きづらさ」を生み、「親の人生の続き」を生きているような感覚に陥ることもあるだろう。

 そんな生きづらさに対し、佐山さんはこう語ってくれた。

「若い頃は、どうしても、道しるべとして親の言う事を真に受けてしまいます。参考になることも多いと思いますが、そこが失敗だったと思っても、顔色を気にするあまり、なかなか別の道に踏み出しにくいものです。2世はどうしても、『親に限らず、まわりの期待に応えたい』という気持ちが生まれてきてしまうと思いますが、それによって自分が苦しくなってしまっては仕方がありません。私も大きな寺院での住職経験が上がり、しりとり法話グランプリでの高評価や、文庫本の出版など、自分で自分を認められるようになったことで、親の存在が『ありがたいなあ』と思えるようにもなりました。別のところで成功体験を重ね、自信を持てるようになるといいですよね。自分の歩んできた道に自信ができると、自分で道を選んでいくことが、人生の幸せにも繋がってくると思います」

 話を戻すが、東尾の場合は、アメリカ留学で親の呪縛から解放され、日本に帰ってきた時は素直に親を尊敬し直すことができたとも述べていた。

 親は確かに選べないかもしれないが、自分の人生は自分だけのものであり、その環境を生かすか殺すかにおいては自身の選択に委ねられているのだろう。

 偉大な親を超えるというのは、自ら生まれながらにして抱えていた生きづらさを超えるということと同義なのかもしれない。

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