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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

6月1日は「電波の日」 NHKの前身が民放設立に猛反対していた理由

公開日: 更新日:

 ここで「商業放送」あるいは「商放」としているものは、民放のことだ。民放など存在しない方が良いという主張だ。その少し前まで大本営発表を垂れ流していた国策放送局が堂々とこうした論陣をはり、放送の独占を主張していたことに驚かされる。

 吉田政権もこの考えを支持していたようだ。放送は今のインターネット以上に、社会への影響力を持っていると、少なくとも信じられていた。そのため、当時の政府は、管理監督が困難な民放の出現を望まなかったということだ。

 そうした日本政府、日本放送協会の意向を打ち砕いたのはマッカーサー率いるSCAP=連合国軍最高司令部だった。日本に民放を設置することを認め、それによって放送の独占が崩れた。それが明確になったのが72年前のこの日ということだ。そういう意味では、この日は放送民主化の日というべきだろう。

■「3テイ」と揶揄された戦前の日本放送協会職員

 連合国軍が民放の設立を認めた理由について以前、占領期研究の山本武利氏の指摘を小欄で紹介した。連合国軍の管理下に置かれた日本放送協会の職員が率先して占領政策に協力する姿に逆に不安を覚えたという。連合国軍が去った後は日本政府に同じことをするとの不安だ。

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