香川照之氏の生謝罪で「不快」なるワードに感じた危うさ 性加害への認識が古いのではないか
昨年、トヨタ自動車はオリパラ組織委員会の森喜朗会長の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」発言を公式批判、辞任に追い込んだ「実績」があり、今回はその筋を立派に通したともいえる。もっとも、CM起用は香川さんと豊田章男トヨタ社長がまさに銀座のクラブで出会って意気投合した末の産物と聞くから、章男氏としてはその夜をほじくり返されたくないという事情もあったのかもしれないが。
日本最大のCMスポンサーから公開処刑された芸能人を起用し続ける民放テレビ局はない。金曜キャスターだったTBS系「THE TIME,」は、発覚直後の8月26日は冒頭で本人が生謝罪したのみで通常通りに進行したが、9月1日にトヨタがCM降板を正式発表した翌朝は、4分間もの長尺VTRで本人が再謝罪と番組降板を告げる異常な事態となった。
「当事者の方々はもちろん、私の今までの人生すべてに関わってこられた方々の中で、私が不快な思いをさせてしまった方々に対して、その方々すべてにお詫び申しあげます」と詫びて深々と頭を下げる姿に、当たり役の大和田常務を思い浮かべた視聴者は多いだろう。全責任を負う覚悟を宣言したような謝罪には、一定の説得力があった。