ロシア在日大使館は超厳戒! 映画「スパイを愛した女たち リヒャルト・ゾルゲ」特別上映会

公開日: 更新日:

駐日大使が語ったナチスとウクライナ

 舞台挨拶にしては長く、そして政治的な主張が強まっていく。

「世界のあちこちで戦争の真実を書き換え、善を悪に、悪を英雄として見せかける動きが強まっている。残念ながら。つい先日も、ロシアが国連総会にナチス思想の台頭との戦いについての決議案を提示しました。なぜか西側諸国はこれに反対投票しました。今まで棄権投票をし続けたのに。大変心配を抱かせる傾向です。

 旧ソ連諸国同士、共にナチスドイツと戦ったウクライナでは、ナチスの思想、象徴、実態が台頭している。第2次世界大戦でナチスに協力した人物を英雄にする動きとか、民族武装集団は頭からつま先までナチスドイツの象徴、模様をタトゥーとして、入れている。まさに恐ろしいありさまです。無防備な捕虜への虐待、大量虐殺、拷問、砲撃、空爆はナチスのやり方そのものです。その真実を日本の新聞などで見つけ出すのは不可能に近いけれども、そうした真実は存在している」

 作品を観賞することによって、旧ソ連を構成していた15カ国がいかにナチス撲滅のために多大な努力を払って戦ったかが理解できる。それが日ロ間の相互理解、信頼、友好につながっていくと期待していると結んだ。

 まばらながら、拍手があがった。「そうだったの?」といった声なき声が広がっていくようでもあった。重たい塀によって隔てられた大使館内は、ロシア語が飛び交い、日本であって日本でない外国なのであった。

 来年2月から、新宿「K's cinema」で公開。

(取材・文=長昭彦/日刊ゲンダイ)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」