(5)血圧測定の新しい仕組みと問題点…血流による光吸収・反射で推測
血圧が測れるスマートウオッチの登場が、世間の注目を集めています。ただし話題先行で、中身はあまり理解されていないようです。
普通の血圧計は、上腕か手首にカフ(ゴム製の圧迫帯)を巻き、空気で膨らませて動脈に圧力をかけながら、脈波をもとに血圧値を計測します。
ウオッチで期待を集めているのは、光を使った新しい測定方法(光電容積脈波法:PPG)です。ウオッチの底面から皮膚に向かってLEDライトを照射し、血流による光の吸収や反射の変化を検出して、AIや独自のアルゴリズムを使って血圧値を推測するのです。カフによる圧迫感や痛みがなく、しかも長時間、自動的かつ連続的に、血圧測定が可能になるといったメリットがあります。
ただしPPGは、まだ完成された技術とは言えません。とくに皮膚の色や濃さ、皮膚や皮下脂肪の厚み、血管の太さなどによって測定結果が左右されるため、いまのところはカフ式ほどの精度が得られないのです。そのため、ウオッチのベルトにカフを組み込んで、血圧を測定するタイプのものが先行しています。