“大衆演劇のドン”沢竜二さん 役者生活83年「何としても『無法松の一生』再映画化はやりたい」

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“打倒歌舞伎”を旗印にしてきたが…

 勢いに乗った沢さんはニューヨーク、ラスベガスに進出。ここでも万雷の喝采を浴びた。

「辛口のニューヨーク・タイムズが、私の歌った『マイ・ウェイ』を本家のフランク・シナトラを彷彿させると書いてくれたのはうれしかったね」

 歌舞伎俳優の15代目片岡仁左衛門氏とも長年、交誼を結んでいる。

「ある時まで、私は“打倒歌舞伎”を旗印にしてきたけど、今はそれは完全に間違いだったと思いますね。歌舞伎と大衆演劇の差は圧倒的な努力と稽古量の差なんです。子供の時から日々の精進・努力の積み重ねがある歌舞伎とは土台が違うんです。生まれ変わることができたら、歌舞伎を一から学んでみたいですね。役者は基本が一番大事、基本をおざなりにすればいつかダメになる。若い役者には人間としても立派な社会人であれと言いたいですね」

 これからやってみたいのは?

映画を撮りたいんです。演目も決まっています。稲垣浩監督の作品に『無法松の一生』という名作があり、1作目(1943年)の主演は阪東妻三郎、2作目(58年)は三船敏郎。ある日、稲垣監督が『沢君、3回目は君で撮ろうと思ってるんだ』とおっしゃって。天にも昇る気持ちでいたら、翌年に監督が亡くなられて、その話も立ち消えに。そのことがずっと胸に引っかかっていましてね。これだけは撮りたいと思っているんです。そろそろ機が熟したかなと思っていたらコロナでしょう。でも、これだけは何としてもやりたいな。おっと、その前に、15日の座長大会を盛り上げなきゃね。ぜひ、見に来てくださいよ」

◆全国若手座長大会は12月15日、浅草公会堂で上演。特別ゲストに大出俊。

(取材・文=山田勝仁/演劇ジャーナリスト)

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