88歳でBLにハマり…東海林のり子の現場主義を支える類まれな好奇心
娘からは「怖いよ」と言われたが、逆に「それは面白そうだから行ってみようかな」(ぴあ「ウレぴあ総研」2013年9月30日)と思うのが、数多くの事件現場に足を運んだ東海林たるゆえんだ。
実際に会った彼らは、礼儀正しくイメージが一変し、一気にファンになった。そこでまだ「ビジュアル系」という呼び名も定着していなかった1991年に「おはよう!ナイスデイ」で反対を押し切りXを特集。その反響は凄まじかった。東海林には、親に反対されてライブに行けないといったティーンからの相談の手紙も届くようになった。すると、その子の家に電話をかけ親を説得したこともあったという。
東海林は「私たちリポーターは現場に行って、彼らが見落としたものを一生懸命リポートしました」(扶桑社「日刊SPA!」21年6月4日)とあくまでも「現場」にこだわった。なにか事件が起きると「到着が遅れれば、それだけ近くに行く機会が失われてしまう。早く着けば、それだけ発見もある」(扶桑社「日刊SPA!」21年5月7日)と真っ先に「現場」に向かい、生々しい状況を伝え続けた。
そこにはもちろん、使命感もあっただろう。だが、それ以上に、「面白そうだから」と怖いロックバンドに会いに行き、88歳になってもBLドラマに偏見なくハマるという類いまれな好奇心があったからに違いない。