10代の夏帆は人見知りで寡黙だったが、いつもキラキラしていた少女だった
夏帆は、デビュー当時から卓越した表現力で見る人を驚かせてきた。10代の代表作は、07年公開の主演映画「天然コケッコー」。くらもちふさこの少女漫画が原作で、夏帆は島根の分校に通う中学生・そよを演じた。
特に印象的だったのは、そよが修学旅行で東京に行くシーン。高層ビルの前で耳に手を当て、東京に関するいろんなものが空を飛ぶ独創的な演出だったが(そよは「東京にも地元と同じ時間が流れていること」に気づく)、東京育ちの夏帆が田舎の子を演じるという逆張りのキャスティングでありながら、「地方から東京へ修学旅行に来た女の子」以外の何者にも見えなかった。
夏帆が10代だった頃には何度も取材して、インタビューした回数では、おそらく2000年代に取材した女優の中でトップ5に入る。当時の彼女は人見知りをしていて寡黙だったが、しぐさも言葉も、いつもキラキラしていた。
20代に入ってからは、NHK大河ドラマ「いだてん」(落語家・古今亭志ん生の妻、りん役)、主演ドラマ「ひとりキャンプで食って寝る」(テレビ東京系)などで活躍。そして30代になり、「女優・夏帆」の第3章が始まった。