久保田利伸さんとBunkamuraの夜…長年のファンほど真剣に在りし日の幻影を追ってしまう
特殊なスクリーン上にアーティストの立体映像を表示して楽しむのがホログラムコンサート。歌声は本人のものを使う。フィルム上映とは違い三次元の立体感があるのだとか。亡くなったアーティストを目の前に蘇らせるのも可能となり、これまでバディ・ホリー、ロイ・オービソン、フランク・ザッパといった鬼籍に入って久しいロックレジェンドたちが、この手法で〈蘇った〉。2015年にはX JAPANのhide(1998年他界)の「ホログラフィックライブ」があったが、日本でホログラムといえば何といってもK-POP。主たる理由は、アーティストが徴兵で活動休止中の出し物として重宝されるから。エンターテインメントにはつねに実社会が反映され、ときに昇華するのだ。
可能性を秘めたホログラムコンサートだが、エンタメとしての完成度については賛否両論がある。もちろん、死者を蘇らせることについても、だ。ぼくと久保田さんはこの種の試みには懐疑的なタイプだが、今回出向いたのは、昨年末に映画『ホイットニー・ヒューストン』で魅力を再認識した彼女に再会したい思いが勝ったからだ。YouTubeで公開されているラスベガス公演の動画が上出来で、その真相を確かめたい気持ちもあった。