この国の音楽業界には、こんなにカッコいい72歳がいる。
ただはっきりと言えるのは、「世の中がどうであれ、自分はエンタメに専念してますから」と語るような大人は、ほんとカッコ悪いってこと。エンタメ従事者こそ天下泰平の実現と維持をつねに意識するべきだし、その〈考えるヒント〉として政治ドキュメンタリーはまことに役に立つ。
■「サンデー毎日」鼎談へ
さて、イベントを終えてぼくが向かったのは、作家・田中康夫さん、音楽家・近田春夫さんとの「サンデー毎日」鼎談だった。これは一連のジャニーズ性加害問題報道に疑問と不満を抱く田中さんの企画。いっぽうの近田さんは、ぼく同様、この問題に早い時期から声を上げてきた数少ない音楽人である。
田中さんが鼎談の場に毎日新聞系の媒体を選んだのは、然るべき理由がある。再発防止特別チームの調査報告書にも明記されたように、性加害常態化の背景に〈マスメディアの沈黙〉があるのは明白だからだ。週刊朝日なきいま、大手新聞系列の雑誌だとサン毎一択となるのは当然。AERAや週刊SPA!だといかにも収まりが悪そうだし。