著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

この国の音楽業界には、こんなにカッコいい72歳がいる。

公開日: 更新日:

 だが最末期の週朝ほどではないにせよ、サン毎も近年は表紙モデルにジャニーズ所属タレントの起用が多い。いくら田中ヤッシーの提案とはいえ、自己批判となるこの企画をサン毎もよく引き受けたものだと妙に感心しつつ、鼎談に臨んだ。

 饒舌トリオが語りあった内容の詳細についてはサン毎の次号に譲るとして、ここでは10数年ぶりに会った近田さんに触れたい。初めてお目にかかったのは30年前、ぼくが音楽コラムを連載していた雑誌『POPEYE』のインタビュー。取材の時間は知的興奮に満ちていて、あっという間に過ぎた。だが取材をまとめた原稿にはいくぶんトリッキーなアプローチが含まれており、近田さんはそれをピシャリと指摘した。

 まだ大学に籍を置いていた20代半ばのぼくは、好奇心なら人一倍、野心も人並み、でもスキルが絶対的に欠けていたことは否めない。キャパオーバーな仕事を小手先で何とかやり過ごそうとする狡猾さを、近田さんは見逃さなかったのだ。当時の彼よりひと回りも年上になったいま、若い時分にそんな大人とめぐり逢えたことの僥倖をぼくはじっくりと噛みしめている。2年前に出版された語り下ろし本『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(構成・下井草秀/リトルモア)を読めば、彼の人格がどうやって形成されたのか知ることができるはずだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ソフトバンク 投手陣「夏バテ」でポストシーズンに一抹の不安…元凶はデータ至上主義のフロントか

  2. 2

    「負けた」はずの琴桜が「勝った」ウラ事情…疑惑の軍配が大炎上《翔猿がかわいそう》

  3. 3

    大谷が2026年WBCを辞退する可能性…二刀流継続へ「右肘3度目手術」は絶対避けたい深刻事情

  4. 4

    広島先発投手陣に忍び寄る疲労の影…9月は防御率が大幅悪化

  5. 5

    小泉進次郎氏「死ぬまで働け」戦慄の年金プラン “標準モデル”は萩本欽一…なんでそうなるの?

  1. 6

    W杯8強へ森保J「5人の重要人物」 頭痛の種は主将・遠藤航の後継者…所属先でベンチ外危機

  2. 7

    SMAPファン歓喜!デビュー記念のラジオ番組で思い出す「SMAP×SMAP」“伝説の5人旅”と再結成の実現度

  3. 8

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  4. 9

    貴景勝は大関最短復帰が叶わずこのまま「引退」か…親方就任の準備はとっくに万端

  5. 10

    《柳田悠岐 #2》人並み以上のスピードとパワーを兼ね揃えていたがゆえの落とし穴