旧ジャニーズ事務所「和解金」に5つの疑問…被疑者死亡で時効成立でも支払うの?

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強制性交の時効は過ぎているのではないか

「強制性交の和解金(示談金)の相場は100万~数百万円というのが一般的ですが、今事案については裁判所の過去の例が当てはまらず、正直、時効の問題もあって法律家としてお答えできません。1人当たりの金額は、むしろ予算(支払可能額)から逆算されて割り振られる可能性が高いと思います」(アトム市川船橋法律事務所・髙橋裕樹弁護士)

 和解金は、慰謝料のほかに治療費や休業損害、逸失利益などで計算される。本来はデビューして「売れっ子スターになっていた」かもしれないなど逸失利益は積算は極めて難しいのも事実。被害者が未成年の場合は慰謝料も高くなる傾向がある。

 ちなみに、派遣型マッサージ店の女性従業員に暴行を加えたとして強制性交罪に問われた俳優の新井浩文は、1審で女性側に2000万円の和解金を申し出たと証言していたが、女性側がこれを固辞。その後の2審では民事上の和解が成立したことが明らかになり、「(1審の懲役5年から)1年減刑して懲役4年」の判決が言い渡されている。

「強制性交罪の公訴時効は犯罪行為が終わった時点から数えて10年、強制わいせつ罪は7年です。そのため多くの被害者は公訴時効が過ぎています。カウアン・オカモトさんについてはジャニーズJrとして活動していた時期が2012年から16年とありますので、ギリギリ間に合うことになります。そもそも、日本では2017年の法律改正までは強姦罪の被害者は女性に限られていました。しかも暴行または脅迫を用いなければ強姦にならないため、処罰ができないのです」(髙橋弁護士)

 男性への強制性交(肛門内・口腔内)については7年前までなら犯罪にすらならなかったというわけだ。

 一方、今年6月には「不同意性交罪」の改正案が国会で可決され、強制・準強制性交罪に問われる要件が8つの類型に整理されている。これまでの「暴行又は脅迫」「抗拒不能」(抵抗できない)を細かく規定し直し、「経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮」なども加わった。

「経済的・社会的関係とは、まさしくジャニー喜多川氏の『デビューさせてあげる』『嫌ならデビューさせない』といった行為が該当します」(髙橋弁護士)

 強制性交罪の罰則は「5年以上の有期懲役刑」となっているが、最高で終身刑のイギリスなど海外に比べても軽いものになっている。

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