歌舞伎座vs新橋演舞場“新作歌舞伎”対決の行方…シリーズ化を期待したい「流白浪燦星」に軍配
歌舞伎を見たことのない人に歌舞伎の魅力を伝えるというコンセプトで、幕張では盛り上がっていたらしい。そこで得た「新しい客」を歌舞伎座に呼ぶために企画されたようだ。
松竹が狙った「新しい客」がどの程度来ているのかは分からないが、私が見に行った平日は、歌舞伎座の常連のほうが多かったように感じた。
ペンライトで客席を埋める演出なのだが、ペンライトを買っていた人はまばら。ラスト、中村獅童がスタンディングを求めるが、応じる客は半分もいない。
初音ミクが悪いのではない。中村獅童も奮闘している。つまらないのは脚本に問題がある。ほとんどが立ち回りで、人間ドラマがない。アトラクションの域を出ていない。ゴジラ映画で、最初から最後までゴジラが出て暴れても、映画として面白くないように、闘いのシーンばかり見せられても、飽きるし、疲れる。
歌舞伎座の客層をいちばん理解しているはずの松竹が、この程度のものを出しても客が満足すると思っているとしたら、かなり深刻な事態だ。
■第二部『俵星玄蕃』、第三部『天守物語』