中学生だった山口百恵に「青い果実」を歌わせた…「昭和歌謡」はスゴかった! (後編)
♪うぶな私がいけないの~
殿さまキングス「なみだの操」の、
♪あなたの決してお邪魔はしないから~
もそうだ。
昭和47年発売の前者は300万枚超、同48年発売の後者は200万枚超の大ヒットになった。
では、当時の日本人がそんな女性観を全肯定していたかというと、まったくそんなことはない。両曲は当時すでにアナクロだったし、小学生だった私ですら「いねえよ、こんな女」とツッコミながら歌っていた。だって、ウーマンリブ全盛期だったんだから。
そんな「今どきありえない設定」をあえてベタなド演歌で歌ったからこそ、世間にバカ受けしたのだ。両グループがもともとコミックバンドだったことも忘れてはならない。みんな「これは絵空事」とわかった上で楽しんで聴いていたし、昭和は歌謡曲に対する世間のリテラシー(歌詞の行間や背景を読み取る力)が高かった証しだと思う。
ちなみに「なみだの操」の作詞は千家和也。百恵に「青い性路線」を歩ませた張本人である。