「海のはじまり」は地に落ちたフジ月9の象徴か…TVコラムニストが薦める意外な視聴者層
「2022年のフジテレビ系『silent』も翌年の『いちばんすきな花』もそうですが、脚本の生方美久さんと、その本に心酔したプロデューサーの村瀬健さんチームのこだわりが詰まっています。きれいで柔らかい映像の中で、人の心の罪をオブラートに包まず直線的にズバズバ突いてくるこのチームのドラマは、見る人を選ぶんですよね。好きか嫌いかで言えば、正直言うと僕は苦手なんですけど」
そんな亀井氏だが、「でも、意外とオジサン世代こそ見るべきドラマかもしれないとも思うんです」と、こう話す。
「第7話放送後にネット上でも話題になった、夏(目黒)が津野(池松壮亮)に死んだ水季(古川琴音)のことで嫉妬すると弥生(有村架純)に言う場面や、そのあとで津野が弥生に《水季、水季ってうるさいんですよね》と夏のことを言う場面。悪意なく無意識に発した言葉が誰かを傷つけているということは、どんな優しい人にもあるということ。それを突きつけるのがこのチームの作風だと思っているんですが、実生活で一番そこに敏感になるべきなのが、僕らオジサンなんじゃないかな、と」
「海のはじまり」が見せる“誰もが誰かを傷つけている”という現実。そこに少しでも気づく人がいて、リアルに誰かが傷つく場面が減るのなら、視聴率に関係なく一定の成果はあるのかも?