著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

松本若菜「西園寺さんは家事をしない」は一見、適温のラブコメだが…

公開日: 更新日:

 猛暑の中、暑苦しい恋愛ドラマは見たくない。その意味で、松本若菜主演「西園寺さんは家事をしない」(TBS系)の温度と湿度は好ましい。

 アプリ制作会社で働く西園寺一妃(松本)は38歳の独身。仕事は好きだが、家事は大嫌い。最近、家賃収入が見込める賃貸付き物件の中古住宅を購入。家事ゼロの日常を目指してリニューアルしたばかりだ。 

 ところがその賃貸の部屋に、同じ会社のエンジニア・楠見俊直(松村北斗)と4歳の娘ルカ(倉田瑛茉)が住むことになる。優雅で気ままな1人暮らしは一転し、大家と店子の関係を超えた「偽家族」としての生活が始まってしまった。 

 幼い娘を抱えて仕事と家事の両立に追われる楠見。彼を助けることで、西園寺の理想の生活が脅かされるのではないか。楠見も見る側もそれを心配した。しかし、西園寺は言う。

「やりたくないことをやってる人を、やらなくていいようにすることが、私のやりたいことだからやってるの!」 

 その言葉の背後には、完璧に家事をこなしていた母親が、突然家を出てしまったという少女時代の苦い記憶がある。 

 家事とは炊事、洗濯、清掃、さらに育児なども含む、毎日処理すべき生活上の実務全てだ。家事との向き合い方は、その人の「生き方」に関わっている。一見、適温のラブコメだが、意外な奥深さがありそうだ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動