「M-1グランプリ」V2王者の令和ロマンには「実力・戦略・運」すべてが備わっている
しかし、彼らはあくまでも漫才師であることにこだわり、優勝後も舞台を大切にして、テレビの出演回数を意図的に抑えていた。そういう姿勢を見せたことで業界内でも嫌われることはなかった。
「M-1」の予選が始まると、くるまは自分たちを「害悪」と位置づけて、ヒールキャラに転身した。肩パッドの入ったサンローランのスーツを着てラスボスのような邪悪な雰囲気を漂わせた。ファイナリスト発表会見の席でも彼は「すべての子羊漫才師を檻に帰す。ただそれだけですね」と語った。
決勝当日には、前年に続いてくじで1番手に選ばれるという奇跡が起こり、会場が最高潮に盛り上がる中で舞台に現れた。漫才の冒頭でくるまは「終わらせましょう」と挑発的な言葉を放って場を盛り上げ、そのまま爆笑をさらっていった。
2本目のコント仕立ての漫才でも大きな笑いを取った令和ロマンは、見事に連覇を達成。優勝した瞬間、くるまはヒールキャラを捨てて達成感に満ちた表情をしていた。実力、戦略、運、すべてを備えたV2王者が新たな伝説をつくった。