令和版「忠臣蔵」新旧豪華共演のドライブ感 12年ぶり歌舞伎座で通し上演
3月の歌舞伎座は2013年以来、12年ぶりの『仮名手本忠臣蔵』の通し上演。しかも主要な役がダブルキャストなので、昼夜.4回見る観客も多そうだ。というわけで満席となり、いつもは空いている男性トイレも、筋書き売り場も行列ができていた。このところ新作が続いていたが、そのときとは客層がかなり違う。
5月に菊五郎襲名を控えている菊之助にとっては、「菊之助としての最後の舞台」でもあり、菊五郎家に代々伝わる判官と勘平を、勘九郎と競った。2人とも6代目菊五郎のひ孫にあたるが、資質は異なる。現時点では、判官は菊之助、勘平は勘九郎のほうが合っているように見えた。いずれにしろ、これから20年.30年と、この2人の判官と勘平を見ることになるわけで、どう進化・深化していくのか楽しみだ。
菊之助の他、松緑、松也、右近、彦三郎、亀蔵と音羽屋一門の活躍が目立つのは、菊五郎の育て方がうまいからか。
その菊五郎は、めったに出てこない服部逸郎の役。最後に5分くらい出るだけだが、堂々たるもので、全部持って行く感じ。この菊五郎の前では、仁左衛門すら小さく見えてしまう。