新橋演舞場vs歌舞伎座は「朧の森に棲む鬼」の圧勝…21世紀の歌舞伎新作では最も成功

公開日: 更新日:

 12月の歌舞伎は、2劇場で競い合っているが、面白さでは新橋演舞場の『朧の森に棲む鬼』の圧勝だ。2007年に劇団☆新感線に松本幸四郎(当時は市川染五郎)が客演した、中島かずき作、いのうえひでのり演出の作品を、「歌舞伎NEXT」として、歌舞伎俳優たちが演じる。

 今回はダブルキャストで、主役のライと悪役のサダミツを幸四郎と尾上松也が交互に演じる。王になる野望を持つ青年ライが謀略と陰謀を重ねて王座を掴む物語で、セリフ劇の部分と、壮絶なアクションの両方がすばらしい。アクション部分で主役になるのがライの弟分キンタで、尾上右近が緩急自在に演じる。

 ダブルキャストの両方を見たが、幸四郎のライは最初から悪人で、そのバケの皮がはがれていく感じなのに対し、松也のライは野心はあるがそれほどの悪人ではないのが悪事に手を染めていくうちにだんだんとダークサイドへ落ちていく感じ。アプローチが異なるのでどちらがいいとか悪いではなく、甲乙つけ難い。もうひとつのサダミツは、自分は賢いと思っているがライによって破滅するキャラクターで、これは幸四郎のほうがコミカルさがあってうまい。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  2. 2

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  3. 3

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  4. 4

    照ノ富士「後継者育成」にも迫るタイムリミット…横綱らしからぬ“醜態”で限界説いよいよ裏付け

  5. 5

    窪田正孝の人気を食っちゃった? NHK「宙わたる教室」金髪の小林虎之介が《心に刺さる》ファン増殖中

  1. 6

    佐々木朗希の「独りよがりの石頭」を球団OB指摘…ダルやイチローが争奪戦参戦でも説得は苦戦必至

  2. 7

    西武再建に“身売り”という選択肢は?《今の球団上層部は野球を知らず興味もない》悲惨な現状

  3. 8

    「家政婦のミタゾノ」中山美穂さんシーン放送決定 亡くなって出演料は支払われる? 識者に聞いた

  4. 9

    フジテレビが2番組を終了させダウンタウン松本人志に「NO」を突き付けたワケ…日テレとは異なる対応

  5. 10

    佐々木朗希はロッテの「足枷」だった…いなくなってFA石川柊太の入団がもたらす“これだけのメリット”