売れっ子脚本家バカリズムは深夜にダベった幸福な時間をドラマで蘇らせている
バカリズムの脚本はよく、女性の気持ちや会話にリアリティーがあると評価されている。だが、バカリズム自身は「女子の気持ちはわからない」と言う。「あれは別に女子の会話じゃないから。たまたま男でも思うことを女性が言うから共感されてるだけで、別に男も女も共感できることしか入れてない。だから恋愛は書けない」(ニッポン放送「バカリズム ザ・ラジオショー」25年3月25日)と語るのだ。
そして、その会話の多くは若い頃、友人たちと深夜までダラダラしゃべり合っていたことを“再現”している。「みんな家庭とかができて、そうなると思うんですけど、友だちの家で朝までダラダラする時間ってもうなくなってくるでしょ? 思い返すと、結局あれって一番楽しかったみたいな。(略)それへの憧れがあるのかも。ずっと、なんにも起こらないけど、ずっと深夜に笑ってたみたいな」(テレビ朝日系「証言者バラエティ アンタウォッチマン!」23年6月6日)。
ところで、バカリズムにはキャストを選ぶときの絶対条件があるという。それは「良い人」かどうかだ。「人気よりも人柄で選んでる」(「バカリズム ザ・ラジオショー」=前出)と。それは、あの深夜に友人たちとダベっていた幸せな時間の空気感をよみがえらせるために、不可欠な要素に違いない。