世界初「軟骨細胞シート」 変形性膝関節症に効果あり
患者数2500万人以上といわれている変形性膝関節症に関する世界初の治療が、数年後には臨床応用されるのではないかとみられている。開発者の東海大学医学部外科学系整形外科学・佐藤正人教授に聞いた。
変形性膝関節症は、加齢やけがで軟骨がすり減ることが原因だ。立っても歩いても膝が痛く、生活の質は著しく低下する。
「最終的な治療は人工関節に交換する手術になり、それまでは消炎鎮痛剤やヒアルロン酸注射などの対症療法が中心です。すり減った軟骨を修復する治療法はこれまでありませんでした」
そこで佐藤教授が開発したのは、「軟骨細胞シート」。患者の膝の荷重のかかっていないところから、軟骨組織を関節鏡で採取して細胞を取り出し、3~4週間かけて培養する。それを薄いシート状にし、すり減った軟骨の表層部分に移植する)。すると、軟骨細胞シートが新たな軟骨を作り出し、再生される。
「軟骨をすべて取り換えなくても、人間が持つ修復再生能力によって、表層部分に移植した軟骨細胞シートが、軟骨を作り出します」