著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

がん患者は介護者がいると寿命が縮む?

公開日: 更新日:

 緩和ケアが肺がん患者の寿命を延ばすという研究結果がある一方、意外な研究結果もあります。

 この研究は、進行がんの患者を対象に、「緩和ケアを診断直後から早期に導入するグループ」と「3カ月後に導入するグループ」で、患者の生存率や介護者のうつ症状などが改善することを示したランダム化比較試験です。

 研究に参加した患者の中には、介護者がいなかった人も含まれており、介護者の有無によって患者の生存率に差があるかどうかを後付けで解析しています。その結果は、「介護者のいる患者で生存率が高いのでは」という予想に反し、「介護者を持つ患者」で1.52倍も死亡リスクが高いというものでした。さらに、「結婚しているか否か」で分析してみると、「結婚している患者」で2.92倍も死亡リスクが高く、「結婚せず介護者もいない」患者でもっとも生存期間が長かったという結果でした。

 ただ、これはランダム化比較試験そのものの結果ではなく、この研究に参加した対象者中、「たまたま」介護者がいる患者といない患者で比較したものですから、何か大きなバイアスの可能性もあります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド