歌手・大江裕さん 「パニック障害」克服までを語る
公演最終日の3日前、今から言う詩をメモするように言われました。その時、「これがおまえの再出発の歌だ」とくださったのが「ふる里はいま…」という曲です。
公演の打ち上げでその曲を初めて披露し、レコーディングの足掛かりをつかみ、“引きこもり”の長いトンネルから抜け出せました。何があっても先生が守ってくれるという安心感は何より大きいです。会社から紹介してもらった病院も相性が良かったようで、心配事が減りました。
病気をしたおかげで今の自分があるように思えます。先生の下で勉強させていただき、またあの時のような予兆を感じても、「来るなら来てみろ」と思えるようになり、いつの間にか消えるようになりました。あの時の経験を胸に、より痛みのわかる人間になって歌を届けていきたいと思います。(聞き手・岩渕景子)
▽おおえ・ゆたか 1989年、大阪府生まれ。18歳の時「さんまのSUPERからくりTV」に出演し、演歌高校生として話題になり、09年に「のろま大将」でプロデビュー。26日に「御免なすって」(日本クラウン)をリリース。