肺炎になったら心臓に注意
肺炎は日本人の死因の第3位になるほど怖い病気です。脳卒中の後で飲み込みの力が弱くなると、食べ物を誤嚥して、それによる肺炎を繰り返す。脳卒中自体では命が助かったのに、肺炎で命を落とすということも多いのです。
肺炎は急性の感染症ですから、治れば普通は後遺症を残すことはありません。しかし、肺炎になった後に、心臓の働きが低下する「心不全」になる人が多いことが知られています。今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という医学誌に掲載された論文によると、カナダで5000人近い肺炎の患者さんを10年くらいの長い間調査した結果として、「いったん肺炎になると、60%も心不全の危険性が高まる」ということが分かりました。重症の肺炎になれば、心臓にも負担がかかりますから、肺炎の直後に心臓の働きが落ちるケースはありそうなことだと思います。
しかし、今回の研究では、肺炎から10年近い時間が経過していても、まだ心不全の危険性は持続していたのです。さらには65歳以下の若い年齢でも、こうした傾向はより強く認められました。なぜこうしたことが起こるのかは、まだ分かってはいないようです。ただ、一度肺炎になるということは、その後心臓の働きが落ちる危険性が高くなるということだと考える。息切れなどの症状には常に注意を払い、定期的な健康診断も欠かさないようにした方がよいと思います。