健康診断受診者の2割 酒を飲めない人の脂肪肝はなぜ怖い
■炎症を伴う5~10%が10年以内に肝硬変
こうなると、肝細胞の修復と線維化が繰り返されながら肝硬変となり、場合によっては肝がんを合併してしまうという。
「炎症を伴う脂肪肝の5~10%が10年以内に肝硬変を起こすことが知られています」
また、脂肪肝は脂質異常から動脈硬化を招くため、脳血管障害や心筋梗塞などの循環器疾患を起こすことも多い。
「忘れてならないのは脂肪肝があると全身でインスリンが効きにくくなる“インスリン抵抗性”が進行しやすくなることです。インスリンは血液中のブドウ糖(血糖)を細胞に取り込ませて血糖値を低下させる働きがあります。ところが、肝臓などの臓器に脂肪肝が蓄積してインスリン抵抗性が生じると、血糖値が上昇します。糖尿病の人はより重症化し、そうでない人も糖尿病になりやすくなるのです」
インスリン抵抗性が進行すると高血圧リスクも上がる。実際、糖尿病の人の40~60%は高血圧症を抱えているが、これは糖尿病でない人の2倍も多い。