医者嫌いの養老孟司先生が肺がん治療を受け入れた要因
私の恩師・養老孟司先生ががんになりました。すでに治療を終え、いままで通りの生活に戻っていますが、治療前後で先生の考え方が大きく変わったことはこの連載の読者の方にも参考になると思います。そのさわりを紹介しましょう。
養老先生のがんが見つかったのは今年4月。先生のお嬢さんから私に電話があり、「去年の秋から肩の痛みが背中全体に広がってきたのです」とおっしゃるので、電話の翌日、私の外来を予約して、先生を連れてきてもらいました。
診察や針生検などの結果、小細胞肺がんのステージ2と判明。肺がんは細胞の大きさで、喫煙者に多い小細胞型とたばこを吸わなくても発症する非小細胞型に大きく分かれ、ヘビースモーカーの先生は小細胞型でした。これは、非小細胞肺がんと比べて増殖が速く、再発や転移を起こしやすいのが特徴です。肋骨に食い込んで痛みがあったことで早く気づけたのはラッキーだったでしょう。発生が中央部だったら、もっと大きくなって転移するまで見つからなかったかもしれません。
治療は、このタイプの基本である化学放射線療法をほとんど迷うことなく選択されました。今回の肝はここです。詳しくは、私との共著「養老先生、がんになる」(エクスナレッジ)に譲りますが、ポイントを紹介します。