著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

【高脂血症治療薬】年間の処方量と金額は秋田県がトップ

公開日: 更新日:

 今まで見てきた高血圧糖尿病の治療薬では、患者1人当たりの処方量の都道府県格差が2倍前後もありました。しかし高脂血症治療薬は、実際に処方されている患者の人数が分からないため、同様の計算で比較することはできません。代わりに都道府県民1人当たりの処方量と薬剤金額を計算し、結果を<表>にまとめました。

 まず処方量です。全国平均は39.2錠。つまり日本国民の老若男女を平均すると、年間40錠近い高脂血症治療薬を飲んでいることになります。あるいは仮に1日1錠と仮定すれば、10人に1人以上が高脂血症薬を継続的に飲んでいる計算です。

 都道府県別のトップは秋田県で、県民1人当たり51.1錠でした。処方量が多いのは、北海道・東北と北陸・山陰地方など、農業が活発で、かつ冬が厳しい地方に集中しています。最近の農業は機械化とクルマ社会が浸透しているため、農村部の住人は、都会人よりも歩かず、生活習慣病患者が多いことが知られています。冬季の寒さも運動不足を助長します。特に秋田県は、高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)が32.6%(2014年)で、全国トップ。これも処方量が多くなる大きな理由でしょう。

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