重要度が増す職場のがん健診 受診率アップと活用のコツ
■公的検診にないメニューは?
たとえば、胃がんの検診は公的検診だとバリウムが基本でしたが、2年前からは内視鏡も選択肢に加わりました。人間ドックなどでは、公的検診のメニューにないピロリ菌のチェックも行われています。ピロリ菌が陰性なら、胃がんのリスクはほぼなくなりますから、ピロリ菌チェックも有効です。
大腸がん検診は、公的検診だと2回の便潜血です。それを毎年1回きちんと受ければ、8割が早期発見できるとされ、大腸がん検診が普及した米国では、大腸がんで亡くなる人が約5万人と、ピーク時の半分程度に減少したのです。
「便潜血では不安」と人間ドックで大腸内視鏡検査を受ける人もいるでしょう。家系にがん患者がいる人なら、無難な選択だと思います。ただし、そうではなくて、便潜血検査で陰性を続けている人は、大腸内視鏡検査は5年に1回程度で十分でしょう。
それぞれの患者の背景を考慮しながら、個別化した検診を考える時代になっているのです。ですから、公的検診では肺がんのCT検査は推奨されていませんが、ヘビースモーカーには低線量CTの受診も検討すべきと思います。