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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

千葉大病院で発覚 がん情報引き継ぎミスはこうして起きる

公開日: 更新日:

 このような診断情報の引き継ぎミスは、あってはならないことですが、ゼロではありません。昨年1月には、東京慈恵医大でも同様のミスが発覚。CT検査での肺がんが見落とされたことが明らかになりました。

 なぜこのようなことが生じるかというと、大きな原因は分業体制にあります。検診などで異常が見つかったりすると、より精密な検査が行われます。主治医から依頼されるのは放射線診断医や病理医などです。そこで、がんなどが疑われると、リポートをまとめて依頼元の主治医に渡します。

 ところが、報告書ができるには、数日かかるため、主治医が内容を確認するのは、多くの場合、次の受診日です。見落としが病院側のミスなのは言うまでもありませんが、患者さんが来院しなかったり、主治医が代わったりすると、重要な診断情報が共有されず、診断結果が伝わらない可能性が生じるのです。


小林麻央さんも診療忘れ

 では、患者として診断結果の伝達ミスを防ぎ、適切な治療を受けるにはどうするか。検査の結果はどんなことでも、リポートを受け取ることが大切です。血糖値脂質など血液検査の結果は、受け取ることがほとんどでしょう。それと同じで、CTやMR、病理などの検査結果も必ず受け取るようにするのです。私は、次の診察まで間隔があくと、電話で検査結果を聞いてもらうように患者さんに伝えています。

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