咳や痰が続きつらいなら疑うべき…「気管支拡張症」とは?
なお、徳田医師は50代未満の人には、よほど気管支拡張症が疑われるケースを除き、CTを勧めていない。これらの年代のほとんどが吸入ステロイド薬で咳が治まるアレルギー性の咳だからだ。CTには医療被ばくの問題があり、過剰診療は避けなくてはならない。
「軽症や中等症の気管支拡張症はレントゲン検査だけでは判別しづらい。正しい診断にはHRCTが必要です。CTの画像を読み解く放射線科医の技量も問われます」
治療方法はまだ確立していない。「抗菌薬を5~7日間投与(静注投与あるいは吸入投与)」「マクロライド(抗生物質の一種)の長期投与」「吸入ステロイド」などさまざな治療法が欧米では検討されている。
「治療の目標は、『急性悪化の頻度を減らす』『患者のQOL(生活の質)改善』『疾患の進行を食い止める』。私の場合、軽症の気管支拡張症の患者さんであれば、風邪がきっかけで咳が出た時に早めに受診してもらい、キノロン系抗菌薬を5日ほど投与。その後、1年間咳の症状が出なかった患者さんもいました。短期間の投与であれば、耐性菌はできません」