脳性麻痺の寺田ユースケさんが語る 挫折と感動そして挑戦
小4からは野球を始めました。意外ですよね? これが、自分で言うのもなんですが、両親の血なのか運動神経が良くて(笑い)。「寺田は足がよかったら化け物だ」と監督が言うくらい投げたり打ったりは人並み以上にできたんです。ただ、走れない。だから、どんなに頑張ってもレギュラーにはなれませんでした。
■初めて踵を着いて歩いたときの感動は忘れられない
つらかったことを挙げたらいろいろあるんですけど、一番は高校3年で受けたアキレス腱延長術です。脳性麻痺の人がよくやるもので、踵を着いて歩けるようにするための手術です。「もう一度、野球をやるんだ」という思いと、大学進学やその先の将来を考えての決断でした。
入院は4カ月に及び、そのうちの1カ月半は寝たきりでした。しかも、その間はあおむけで、足を“大の字”に開いたままで、自由は一切なし。寝返りもできないので褥瘡(床ずれ)はできるし、トイレも看護師さんの手を借りるしかありません。思春期の男子にはキツイ(笑い)。痛みもすごいし、今でもあれは“拷問”だと思うくらいの地獄の日々でした。