顔をさらすのが怖い…1億総マスク依存症を精神科医が懸念
いまは素のキャラのままでは生きづらさを感じる、という人は珍しくない。SNS上でいくつものキャラを使い分けるのも普通のことになった。同じことを現実世界で可能にするのがマスクというわけだ。
「必要ない場所でのサングラスや、顔にかかる長髪と同じように、マスクは素のままの自分を隠してくれる。しかもマスクは取り外しがしやすく、医療上のお墨付きもついている。ある意味で、これほど優れたアイテムはないですよね」
深間内院長は、マスク依存症の患者にとって、マスクは必ずしも悪いものではなく、それがあるから引きこもりにならずに済んでいる、という効能もあるのだと話す。
「そういった人たちは、リアルな他人との付き合いは気が重いけれど、かといってひとりでいるのは寂しいという、アンビバレンツな気持ちを心の中に持っています。マスクはそうした人も外出が可能になる薬のようなものでもあります。いまはマスクを必ずしなければならない時期ですが、いつかはこの状態も過ぎ去ります。もしコロナ禍が終わっても、マスクがないと人前に出られないと感じたら、それは単なるマスク依存ではなく、社交不安障害などの精神的な問題から来ている可能性もあります。マスク依存だけにとどまらない、精神的な問題が明らかになり、治療につながる場合もありますから、一度、精神科、心療内科などの診察を受けることも検討してみてください」
心理的にもダメージの大きいコロナパニック。いまは、マスクは命を守るために必須のアイテムだが、家の中でも取り外せない状態になったら、自分の心の健康も、きちんとチェックする必要があるだろう。