サービス開始から1年が経過「5G」で医療はどう変わるか
もっとも、遠隔医療の本命は、内視鏡やカテーテルの検査・治療の遠隔支援だろう。千葉県松戸市の千葉西病院で稼働している「カテーテルスタジオ」の遠隔版をイメージすれば分かりやすい。
マスコミなどで何度も紹介されているので、カテーテルスタジオをご存じの方も多いだろう。
同センター内の6つの血管造影室から、検査や治療の映像がリアルタイムでスタジオの大型モニターに送られてくる。それをベテラン医師が見て、重要な局面に差しかかると、モニター越しに現場の医師たちに適切な指示を与える。これによって同病院は、全国でもトップクラスのカテーテル件数と成功率を上げている。
5G時代には、同様のことを異なる病院間で行うことができるようになる。現在の高速光回線でもできないことはないが、通信の遅延が5Gと比べて大きいうえに、ケーブルや通信機器の購入と敷設に費用がかかるなど、技術的・金銭的な障壁が多い。しかし5Gの技術を使えば、それらの課題を一気に乗り越えることができる。
ただし、制度的な課題をクリアするのに時間がかかるかもしれない。現行の制度では異なる病院間でのこうした遠隔支援に対して、健康保険からは報酬が支払われない。この問題が解決し、適切な報酬が支払われるようになれば、一気に普及するだろう。全国のカテーテル医療や内視鏡医療の質が上がると同時に、地域格差の解消にも役立つはずである。