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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

腸内細菌が免疫チェックポイント阻害薬の効果をアップさせる可能性

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■大腸がんにも関係

 がんに関しては、ある特定の腸内細菌が大腸がんの腫瘍微小環境(腫瘍=がん細胞の周囲を囲む微小環境で、免疫細胞、線維芽細胞、リンパ球などの正常細胞や生体分子などから構成される)の腫瘍免疫応答を制御している可能性があると報告されていて、腸内フローラをコントロールすることで、がんの治療効果を上げることが出来るのではないかと期待されています。

 免疫細胞は「骨髄」の中で生まれて血液やリンパ液を通り全身を巡っていますが、その免疫細胞の約70%は「腸」に存在しています。消化管は口から肛門までひとつなぎになっているので、細菌やウイルスなどの外部から入り込む異物と関わることが多い場所です。中でも、さまざまなものを吸収する腸は、有害な物質を体に侵入させないために免疫細胞が豊富に存在していると考えられています。骨は体を支えるだけではなく、また腸は栄養を吸収するだけではないのです。

 われわれの免疫システムには、異物を排除するための「アクセル」と「ブレーキ」が備わっています。異物と戦うために働くアクセルに対し、ブレーキは異物を排除する働きが強すぎて自分の体を傷つけてしまわないようにするためにあります。このブレーキの働きが、逆に免疫細胞からがん細胞を保護している=免疫細胞ががん細胞を攻撃しないようにさせてしまっているのです。

 そんなブレーキを抑えて、免疫システムががん細胞を攻撃するように働かせる薬がICIです。がんに対する免疫療法として登場したICIは、もしかすると腸内フローラをコントロールすることで、効果を高めることが出来るようになるかもしれません。

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