白内障に対する点眼薬は発症や進行を予防する目的で使われる
高齢者の多くが経験する目の疾患のうち、代表的なものは「白内障」だと思われます。生活するうえで車の運転をしなければならないのに、運転免許証の更新の際の視力検査で引っかかって眼科を受診し、そこで白内障と診断されたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
白内障では、目の水晶体というレンズのようなものが白く濁ってしまい、霧視(かすみ目)、視力低下、複視(ものが二重に見える)などの症状が現れます。治療の基本は外科治療、つまり手術となります。濁った水晶体を砕いて取り除き、代わりに人工の眼内レンズを入れる手術です。手術と聞くと大変そうなイメージですが、白内障の手術は局所麻酔で実施でき、手術にかかる時間も20分程度と短く、場合によっては外来での日帰り手術も可能です。
ただ、基本的に白内障は片目ではなく両目に起こる疾患なので、ほとんどの場合で2回の手術が必要となります。一度にできればよいのですが、体への負担や日常生活への支障を考慮して、片目ずつ別日に手術が行われます。
みなさんの中には、「そうはいっても、やはりできるだけ手術はしたくない」という方もいらっしゃるでしょう。そこで選択されるのが薬物療法です。白内障に用いられる点眼薬としては、ピレノキシンとグルタチオンという成分のものがあります。効き方は若干異なりますが、どちらも水晶体を濁りにくくすることで白内障の発症や進行を予防するクスリとなります。1日3~5回と比較的頻回に点眼する必要があるという点も共通しています。重篤な副作用はありませんが、もし点眼中に異常を認めた場合は、点眼を中止してすぐに眼科を受診するか薬剤師に相談するようにしましょう。