眼科編(5)強い近視の人は気をつけたい目の病気 「病的近視」は失明原因第3位
脈絡膜に新たなもろい血管を生じる目の病気は複数ある。日本人の失明第1の原因となる黄斑変性症の滲出タイプがその代表だが、それ以外では「近視性脈絡膜新生血管」が目立つ。
「その異常血管の特徴は加齢黄斑変性での新生血管よりも狭い範囲にとどまることが多く、眼底写真でも見逃されることが多い。強度近視の5~10%に生じていて、網膜の真ん中にある中心窩付近に多く見られます」
なぜ、目の奥で異常な血管が生えてくるのか?
「脈絡膜が痩せたり血流不全などにより網膜に血液が届かずに栄養不足を生じ、最終的に脈絡膜新生血管を起こすという説があります。無治療だと10年後には96%に網膜に脈絡膜萎縮が発生し、矯正視力は0.1以下になるといわれています」
近年、その診断には蛍光眼底撮影と共に光干渉断層計(ОCT)が行われている。それによると、網膜の浮腫や網膜の下に染み出した血液の滲出液は加齢黄斑変性よりも少ないことがわかっている。
「以前、盛んに行われた網膜光凝固を代表とする新生血管に対する手術は、手術後に凝固斑が拡大することや、新生血管の再発が認められるため最近は少なくなっています。代わって治療の中心は抗VEGF薬の眼球内への注射へと移行しています。点眼麻酔後に細い注射針を用いて硝子体内に注射する治療で、予後は比較的良いことが知られています」
なお、黄斑円孔が完成した症例では積極的に手術が行われるという。