アトピー性皮膚炎の新薬が続々登場で、治療はどう変わったか?
男性は現在もデュピルマブを2週間に1回、自己注射している。コントロールの良い状態が続いている。
前述の通り、現在治療薬の種類は多い。
「2018年以降、アトピー性皮膚炎の治療は大きく変わりました」
基本は外用薬の適切な使用だが、外用薬でもステロイド外用薬、タクロリムス軟膏に加え、外用JAK阻害剤など新薬の選択肢がある。
症状が軽減したら、症状の重症度を測定するTARCの結果も見ながら、薬の量、塗る回数を減らし、スキンケアだけでOKの状態に持っていく(プロアクティブ療法)。再燃の兆候が見られたら、早期に外用薬を用いたり、デュピルマブ(注射)や他の新しい全身療法薬の併用などを検討する。
一方、外用薬を適切に使っていても効果が不十分であれば、デュピルマブを含む新しい全身療法薬という選択肢がある。「次」の打つ手が非常に限られていた「デュピルマブ登場以前」とは、そこが大きく違うのだ。
「従来薬で良くなる方もいれば、新薬が症状改善の大きな助けになる方もいる。新薬適応の患者さんには、各薬のメリット、デメリットを丁寧に説明し、最終的にご自身に合ったものを選択してもらう。新薬は高額ですが、高額療養費制度を利用すれば少ない負担で続けられる方もいます。とにかく言えるのは、これまでどの薬でも良くならなかった患者さんも、今なら違うかもしれないということ。諦めて治療から遠ざかっていた方はぜひ、アトピー性皮膚炎の治療に力を入れる皮膚科を受診してほしい」
小西院長は、症状をスコア化することで現状把握ができるPOEMスコアを採用。デュピルマブの場合、投与前、2週間後、4週間後のPOEMスコアは、最重症、重症、中等症いずれも平均スコアが半分以下になるという。効果の可視化が、患者の治療のモチベーションにもつながっている。