若年性アルツハイマー病は「すぐに何もかもできなくなる病気」ではない
さらに、ご家族も受け入れ難い。そもそも老親の認知症であっても、「あんなにしっかりしていた父・母が……」となりますよね。これが若年性アルツハイマー病では、子供たちも、そして若年性アルツハイマー病当事者の親御さんも、想像すらしていなかったことで、衝撃が大きい。しかも、近くに同じような悩みを抱える人がほとんどいないのです。何もかも自分たちで抱え込んでしまいがちになってしまいます。
若年性アルツハイマー病の専門外来では、薬物治療は老年性と同様でも、非薬物療法は「若年性」であることに重きを置いたものを行います。また、必要に応じてご家族へのアプローチも行います。認知症の治療に長年関わる中で、若年性アルツハイマー病では非薬物療法の面で取り組まなければならない問題があると痛感したのが、専門外来開院へとつながりました。
■仕事を継続する人も
ところで若年性アルツハイマー病には、世間的にいくつか誤解があると感じています。インターネットで検索すると、「早ければ18歳から発症」とあります。これは若年性認知症を18歳以上65歳未満の発症とする定義に関係し、また交通事故や脳梗塞などで発症する別の若年性認知症であり、アルツハイマー病の場合は、通常は早くても45歳くらい。平均して51~52歳くらいといったところでしょうか。