汗が多いのが悩み…単なる汗かきか、それとも「多汗症」か?
これらの保存的治療で効果がない人には、手術という選択肢がある。ワキの下の場合は、ワキの真ん中を4~5センチほど切り、アポクリン汗腺を取り除く剪除法が一つ。また、体内で発汗指令を出す交感神経を切除する交感神経節切除術も有効。この2つの方法は、手のひらの汗にも効果がある。いずれも保険適用だ。
自由診療なら、マイクロ波エネルギーでアポクリン腺やエクリン腺を破壊する「ミラドライ」と呼ばれる手術もある。
インターネットなどで「多汗症」「ワキ汗」などと検索すると、「ボトックス注射(ボツリヌス注射)」という治療法がヒットする。しかし多汗症患者を非常に多く診ている山本医師は、ボトックス注射を行っていない。その理由は、ボトックスの抗原性にあるという。
「体に抗体ができるため、2回目以降はボトックスを打っても汗が出ない期間がぐんと短くなってしまう。一度くらいならいいが、長期的に打つのはお勧めしません。効果がないからといくつかの病院をめぐり、短い期間に大量にボトックスを打つのはもってのほかです」
日常的にできる汗対策もある。ひとつは、クールテックと呼ばれる接触冷感素材や吸汗素材の衣類を着用する。もうひとつは、市販の制汗剤を夜の入浴後に塗る。