料理も掃除も洗濯もしてもらえて生活は楽になったけど…
特に「三多」は、高齢者ほど実践すべき。「体を多く動かす=運動」に限りません。料理を作る、掃除や洗濯をする、買い物に出かける、ゴミ出しをする、回覧板を近所へ届ける……。日常生活のあれやこれやをやるだけでも、体を多く動かすことになりますし、「多くの人・事・物に接する」にもつながります。日中動けば、適度に体が疲れ、夜もぐっすり眠れます。
元気だったK子さんと、一変してしまったK子さんの両方の姿が強く記憶に刻まれているという前述の女性。最近、K子さんの出来事とは真逆とも思えるエピソードを聞いたそうです。それは、認知症や介護に関する講演会で知り合った70代後半の女性(Aさん)と帰り道、お茶をした時のこと。
Aさんは、脳梗塞で認知症になった夫を約20年にわたり介護。Aさんがずっと心がけていたのは、「夫ができることは、すべて夫にやらせる」。
たとえば、洋服の脱ぎ着。脳梗塞の後遺症もある夫は、パジャマのボタンを外し、脱ぎ、洋服を着て、ボタンを留める……という一連の行為を終えるのに、50分はかかる。手を出したくなってしまうのをぐっと我慢してじっと見守り、どうしてもできないところだけ手伝う。