著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

過度の「リスク管理」は子どもの自立の妨げになる

公開日: 更新日:

■「おもちゃが買って」と泣き叫ぶ子どもの感情にヒントがある

 たとえば、「おもちゃを買って!」と泣き叫ぶ子どもがいたとします。この子は「このおもちゃが欲しい」という素の感情、つまり一次感情に突き動かされて行動しています。

 しかし、親がいくら泣き叫んでも親がこのおもちゃを買ってくれないと理解すれば、「ああ、このおもちゃは今は買ってくれないんだな、悲しいな」と苦痛は感じますが、その感情はピークアウトすれば時間と共に消退していきます。

 仮に親が、「そんなくだらないもの欲しいとか言わないでよ」「お願いだから人前で大きな声で泣かないでよ」などと端から叱ることしかせず、「おもちゃが欲しいから泣き叫ぶ」「手に入らないと悲しい」という子どもの素の感情には何の関心も抱かず、ただそこから生じる反応としての表面的な行動ばかりにしか親が目を向けなければどうなるでしょうか?

 とはいえ、この程度のことはどこの親子でも普通に見られるやりとりですし、現実には問題にならないことが大半です。しかし、お子さんが繊細で傷つきやすいという気質を持ち合わせた場合には、もしくは過去にもお子さんの「欲しいものが手に入らず悲しい」という気持ちに寄り添うことに欠けていて感情不全がすでに生じはじめている場合には、実はこの対応の積み重ねは大変なリスクを伴うのです。(つづく)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末