過度の「リスク管理」は子どもの自立の妨げになる
■「おもちゃが買って」と泣き叫ぶ子どもの感情にヒントがある
たとえば、「おもちゃを買って!」と泣き叫ぶ子どもがいたとします。この子は「このおもちゃが欲しい」という素の感情、つまり一次感情に突き動かされて行動しています。
しかし、親がいくら泣き叫んでも親がこのおもちゃを買ってくれないと理解すれば、「ああ、このおもちゃは今は買ってくれないんだな、悲しいな」と苦痛は感じますが、その感情はピークアウトすれば時間と共に消退していきます。
仮に親が、「そんなくだらないもの欲しいとか言わないでよ」「お願いだから人前で大きな声で泣かないでよ」などと端から叱ることしかせず、「おもちゃが欲しいから泣き叫ぶ」「手に入らないと悲しい」という子どもの素の感情には何の関心も抱かず、ただそこから生じる反応としての表面的な行動ばかりにしか親が目を向けなければどうなるでしょうか?
とはいえ、この程度のことはどこの親子でも普通に見られるやりとりですし、現実には問題にならないことが大半です。しかし、お子さんが繊細で傷つきやすいという気質を持ち合わせた場合には、もしくは過去にもお子さんの「欲しいものが手に入らず悲しい」という気持ちに寄り添うことに欠けていて感情不全がすでに生じはじめている場合には、実はこの対応の積み重ねは大変なリスクを伴うのです。(つづく)