その不調は更年期障害かもしれません(2)閉所恐怖症を訴える患者は少なくない
ところが抗不安薬での治療を開始したものの症状は一向に改善せず、受診した別のクリニックで更年期障害と診断された。
これまで40年間にわたって女性医学に携わる、野崎ウイメンズクリニック院長の野崎雅裕氏はこう話す。
「女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少は、自律神経を乱して精神面にも大きな影響を与えます。中でも『不安』の感情は、ときには『恐怖』となり、やがて『恐怖症』にもつながりかねない。更年期障害の方の中でも『閉所恐怖症』を訴える割合は多く、当院では更年期障害の方の約5%に見られる、決してまれではない症状なのです」
しかし、婦人科と一口に言っても、妊娠や出産の管理を行う産科、子宮や卵巣のがんを診療する婦人科腫瘍内科のほか、生殖医療(不妊治療)に特化したクリニックや、更年期障害や月経困難症といった女性医学を扱う分野に分けられている。更年期障害が専門領域でない医師の場合、「閉所恐怖症=エストロゲンの減少」と結びつけるのが難しく、診断の遅れにつながるリスクが高い。
「医師にご自身の年齢と症状を伝えても、『婦人科の領域ではない』と、心療内科を紹介されたという患者さんは少なくありません。更年期障害の症状は多岐にわたります。40歳を過ぎて急に不調が増えたなら、ご自身でも更年期障害の疑いを持つことが大切です」